新潟県のピンクの食用菊「カキノモト」が届きました。
ピンクの中型の菊で、綺麗な花です。強い香りではありませんが、ほのかに高貴な香りがします。
電話で食べ方を聞いて、酢の物にして味わいました。強い味ではないので、目をつぶって食べれば味自体は、野菜の酢の物と変わらないかも知れませんが、歯ごたえというか舌触りが少し違うように感じます。「キュッキュッ」としたツルッとした感触があるのです。海藻類のような感じもします。
調べてみたら、花びらの形状が筒状になっていることが要因とのことで、「な~るほど!」と合点しました。
新潟の一部の地域でしか食せず、地元ではどの家にも植えられている花だとということを知りました。正に地産地消でしか味わうことが出来ない地元密着の食材だと言うことですね。素敵なことです!
カキノモトの香りと食感を楽しみながら、フッと母の教えを思い出しました。
昔昔のこと。
お刺身皿にツマと一緒に黄色の小菊が飾ってある。その皿を見入っていた私に、母がそっと言いました。
「ひろこ、この小さな菊は飾りだけでは無いのだよ。花びらを刺身醤油に浮かべて食べてごらん。菊の良い香りがするでしょう?こうやって食べてごらん・・・菊には身体の毒を消すことが出来るの。だからお刺身に菊が付いていたら、菊も食べたら良いのよ・・」
「ふぅ~ん」
成長してから、菊には解毒作用があることや、漢方薬として古来から用いられて長寿の薬とされていることなどを知りました。
母は知識欲が旺盛な人で、看護師、保健師、美容師、保母・・と資格を取得して働いていました。父が自衛隊のパイロット教官であったことから美容院を畳んで転勤も経験しますが、たくましく生きて、私たち姉妹を育ててくれました。
今思えば、働いている頃でも常に本や資料が手元にある人でした。現在、96歳。人生の終盤も凜としています。
30代の母は幼い私にしっかりと正しい知識を与えてくれていたのです。なんとありがたいことか!
シルバーヘアの私に、母の教えを思い出させてくれた「カキノモト」食用菊の香りに感謝です。
以前、中国で菊茶を飲んだ記憶があります。そのすっきりとした菊の風味がとても気に入りました。そこで中国滞在中に苦労してお茶屋さんを探し、お土産として買いました。
そのお茶は黄色の菊を乾燥させて固めたような物で、自宅で頂くことを楽しみにしていました。
帰国してパッケージ裏の飲み方通りに飲んでみたら「あららっ!?」全く違う味と香りで・・失望感大!!
どうしてそのような結末になったのか、未だに分かりません。それ以後、私の人生では菊茶は「封印」中です。
古人は長い長い時間をかけて、菊の効能を身をもって試して見つけていったのですね。
菊はなにか背筋をピンとさせるような、独特な香りがあるような気がしています。それもこの花が昔から愛され続けている要因なのでしょう。